家族支援のための取り組み
在宅介護における課題
介護が必要な人に対してどのようなスタンスで支援をすれば良いのか、具体的にどのようなサービスが必要なのかについては、これまでさまざまな過程を経て改善がなされてきました。しかし、在宅で介護をしている人への支援は十分でなかったと言わざるを得ません。
自宅で介護をしている人は心身共に負担を抱え、介護を理由に離職をしなければならない状況になったり、ストレスから自殺をしてしまったり殺人を起こしてしまったりという悲しいニュースを耳にすることもあります。これからの介護を考えるにあたって、この「介護する人が抱えている問題」についても重要なものととらえ、対策を講じていく必要があるのです。
介護をしているからと言って、その人自身の人生が損なわれることは望ましい形ではないでしょう。健康であることはもちろん、仕事や趣味、学習や友達との関わりが十分に行える環境を用意しておくべきです。そのためには、介護している人が1人で負担を抱えて思い悩むのではなく、相談できる場所があったり、実際に介護をサポートしてくれるようなサービスが提供される必要があります。
頼れる場所や人を置く
介護をしている人はどのようなことで困っているのか、どのような支援を必要としているのか、まずはその実態を把握する必要があります。そのためには、まず地域での会議や検討会、実態調査などを行うと良いでしょう。具体的にどのような対策をすれば良いのかがみえてくると共に、周りの人々の介護に関する認識を高めることにもつながります。
実態がみえてきたら、次に支援のためのしくみを構築していきます。介護する人への支援について興味を持ってくれた人や関係者を対象としたサポーターの養成講座を開催したり、介護する人同士が集まって相談し合えるような場を作ることが第一歩です。こうした活動が広がっていけば、相互に連動して地域全体でのサポート体制を整えていくことができます。
このような動きを実現するためには、拠点が必要です。その形は地域によって違いがありますが、少なくとも地域包括支援センターや生活支援コーディネーターなどが十分に連携して、介護している人が本当に求めている支援を把握しスピーディーに対応していける環境を作ることが求められます。
必要不可欠な「レスパイトケア」
レスパイトとは、一時休止・休息といった意味を持つ言葉です。日頃から在宅での介護で心身に負担を抱えている人を、少しの間解放してリフレッシュしてもらうためのサービスが「レスパイトケア」なのです。介護される人への支援はさまざまなものがありますが、レスパイトケアは介護する人への支援です。日本では1976年にショートステイとして始まったもので、急な用事や介護する人の体調不良の際はもちろん、上述のように息抜きのために利用することもできます。
介護する人にとってもされる人にとっても、身体の健康や人生を楽しむ充実感は必要なものです。皆が安心できる介護のために、このような支援は積極的に利用するべきだと言えるでしょう。