適切な支援のために
介護職の基本姿勢
人それぞれが独特の個性を持つのは、介護サービスの利用者においても同じことです。つまり、生活スタイルも多様性があり、どれが正解と決められるものではないのです。介護職は、介護の知識や基本的な技術を持っているはずですが、だからといって自分のものさしだけで判断してしまうのは適切な支援とは言えません。利用者それぞれの状態の違いはもちろん、その人の経験や考え方によって求められるものは異なりますし、本当に必要な支援の内容も変わってきます。介護の仕事をしようと考えている人は誰もが心得ていることだとは思いますが、一番尊重するべきなのは利用者本人の想いなのだということは、今一度肝に銘じておきましょう。
求められるスキルは「人間力」
介護の仕事は「人間の生活を支援する」という特性から、さまざまなスキルが必要とされます。また、今後は医療依存度の高い高齢者も増えていくと予想されるため、介護の技術や知識だけでなく医療の知識もこれまで以上に求められることになるでしょう。
持っていると良いスキルは挙げればきりがないほどありますが、必須なのは「人間力」です。いくら知識や技術があっても、相手を理解しようとする姿勢や、問題を解決する力がないと意味がありません。特に介護の仕事はチームワークが大切なので、仲間の良いところを見つけて適切な言葉で伝えたり、できない部分を責めるのではなく助け合うことが質の良い仕事に直結してきます。お互いが能力を活かし合って、利用者やその家族、そして一緒に働く仲間の幸せに向かって前進していくのです。
できることから始めよう
介護職は他の業界に比べて、傾聴力が高いと言われています。日頃から利用者にしっかり向き合い、同僚との協力体制についても大切にしているからこそ身に付く能力なのでしょう。しかし、きっと全ての介護職が初めからそうであったわけではないはずです。コミュニケーションに苦手意識があったり、話し方・聞き方のスキルが足りていなかったりと、苦労した部分はそれぞれあるはずです。
ですから、これから介護職を目指そうと考えている人も不安に思う必要はありません。介護の専門知識や技術を学ぶことももちろん良いのですが、まずは普段の自分を見つめ直してみましょう。日常生活の中でも、人間力を高めていくためにできることがあるはずです。1人の人間としての魅力を高めることが、介護の専門家としてのスキルアップにも必ずつながってくるのです。